こんにちは税理士の大倉(元国税職員)です。
12月24日はクリスマスイブ🎄そして、大イベントの有馬記念です。
1年の締めくくりにと馬券購入する方も多いですよね。
今回のテーマは「競馬の当たり馬券」と「車両リコールでもらった損害賠償金」の課税関係を取り上げてみました。
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Q 競馬で儲けた時、税金はかかるのか。
A 競馬で儲けた金額は、一時所得として課税されます。
ただし、一時所得には特別控除(50万円)というものがありますから、「払戻金-当たり馬券の購入費=50万円超」の時、一時所得の課税対象となり、確定申告して税金(所得税+住民税)を納付することとなります。
確定申告の際は、一時所得は他の所得と合算して税額と求めますので、例えば、サラリーマンであれば給与所得(源泉徴収票が必要)と一時所得の合計所得金額で税額を算出していくこととなります。
Q 一時所得の計算の仕方は?
A 「{(払戻金-当たり馬券の購入費)-50万円}×1/2=一時所得」です。
例えば、有馬記念で3万円馬券を購入し、100万円の払戻金があった場合は
(100万円-3万円-50万円)×1/2=235,000円・・・一時所得
※注意事項:「当たり馬券の購入費」には、同じレースで数種類の馬券を購入していた場合、この中の一点が的中した場合は、その的中した一点のみしか当たり馬券の購入費にできません。外れ馬券は、原則、購入費として差し引くことができません。
競馬で儲けた人全てを税務署が把握しているかという質問には、コメントをひかえるところですが、情報社会の中、税務当局もいろいろと収集しているので、税務署からの問い合わせがあった時点では、完全にアウトでしょうね。ほぼ全体図を把握してからの調査通知でしょうから。
一時所得に該当するならば、きちんと申告しましょう。
Q 裁判で外れ馬券を経費として認め、購入費全額を払戻金から差し引いているが、誰でも外れ馬券全額を差し引いて所得の計算していいのか。
A 原則、外れ馬券は経費として認められていませんので、払戻金から差し引くことはできません。
しかし、2015年3月の最高裁判決及び2017年12月15日の最高裁判決によるものは、例外的なものといえるでしょう。この経費として認められた事例は、「馬券の購入期間、回数、頻度等から営利目的の継続的行為」と判断された場合で、この条件は以下のようなものが挙げられます。
《2015年判決から見た条件例》
・予想ソフト(馬の能力、血統や過去のレース内容等の膨大なデータ)によるデータの蓄積
・ほぼ全てのレースにいて馬券を大量購入し、多額の利益を得ている
《2017年判決からみた条件例》
・競走馬、競馬場や騎手等の情報を収集・蓄積し、購入パターンを構築している
・構築したパターンに基づき、継続的に多数・多額な馬券を購入し、多額の利益上げ続けている
税務当局の課税関係もこの判決は例外的なものという位置付けで、一般ファンの高額払戻金に関する一時所得の計算においては、該当せず、原則のとおり外れ馬券費用を払戻金から差し引いて一時所得の計算することはできません。
§チェックポイント§ 平成29年12月20日の最高裁決定では、3年で2億5千万円の馬券購入で、購入回数年1500回~2000回、払戻金1億8千万円、3年間の損失約7千万円のとき「年単位で多額の損失が生じているなど、この馬券購入は一般的愛好家の馬券購入と質的に変わらない」などと判断し、外れ馬券を経費として認めていません。継続的に利益を得ることを目的とするのが事業の定義ということから、損失が生じ続けるのは経済活動に当たらないということでしょうか。税務当局の総合的判断に基づく個別対応いえます。損失を認めるか否かの判断基準となる「購入金額、購入回数」といった指針が出ていないことを踏まえ 「{(払戻金-当たり馬券の購入費)-50万円}×1/2=一時所得」の金額が生じたら申告することが賢明です。
Q 車両のリコールを受け、検査等実施後にもらった損害賠償金は、申告しないといけないのか。
A 個人の確定申告においては、所得税法第9条一項に規定する損害賠償金に当たることから、非課税となり、申告の必要はありません。
なお、法人が損害賠償金を受けたとった場合は、法人の益金に計上することとなります。計上時期は、支払いを受けることが確定した日属する事業年度の益金の額に算入します。しかし、法人が実際に支払いを受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、この処理も認められています。(法人税基本通達2-1-43:損害賠償金の帰属の時期)
これからも、こんなことあんなこと発信していきますので、興味のある方ブログのぞいてくさい。
有馬記念の馬券購入した方、楽しいクリスマスイブになるといいですね。