「令和」と元号が変わり、税務手続き書類の元号等記載にあたり、表示例が示されていますが、今年度末までは「どちらでも」受け付けてくれそうです。
システム改修というもの、なかなか大変のようですね。
今回は、不動産所得の収入金額にスポットをあててみました。
大倉佳子税理士事務所【所沢市・女性税理士・元国税職員】です。
東京・埼玉を中心に、関東近郊(茨城の顧問先あり)地域に対応しています。
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Q 未分割の相続財産(賃貸アパート)から生ずる不動産収入(所得)は受け取っている相続人Aが全額申告すればいいのか。
A 未分割の相続財産であるアパートから得ている賃貸収入は、分割が行われるまでは相続人の法定相続分に応じて申告します。
よって、相続人A・B・C(兄弟で法定相続1/3)の場合、遺産分割協議が整わないため、共同相続人のうち相続人Aがアパートと管理し、賃貸収入を受け取っている場合でも、相続人Aがその遺産を相続したわけでないことから、相続人Aにこの不動産所得が帰属しているのではないので、相続人Aが全額申告することはできません。相続人A・B・Cが各1/3(法定相続分)ずつ按分して申告することとなります。
将来遺産分割が行われた場合、分割の日以後に生じた不動産所得は実際に相続した人の相続分(登記による所有権持分)によって申告することになります。
Q 所有しているアパートが全損し、損害保険金500万円を受け取った場合、帳簿上の未償却残高100万円のとき保険金との差額400万円は課税されるのか。
A 受け取った保険金が全損したアパートの時価を超えた保険差益は、非課税です。
事業用の固定資産の取壊し、除去、滅失等によって生じた損失は、保険金額によって補てんされる金額を除いて、その事業に係る所得金額の計算上必要経費になります。
〔資産損失計算式〕未償却残高-(被災直後の時価+発生資材の時価)-保険金=資産損失
100万円 - ( 0円 +0円 ) - 500万円=△400万円→0(資産損失なし)
※個々の資産、原因ごとの計算となります。
そして、400万円の保険差益は、損害保険契約に基づき支払を受けるもので、突発的な事故によって資産に加えられた損害に基づき取得するものとなり、所得税は非課税とされています(所法9①十七、所令30二)
Q 敷金等で課税される場合はあるのか。
A 賃貸人から預かる敷金等でそれが賃貸契約書において「返還しない~」といった記載がされていいるものについては、不動産所得の収入金額となります。
不動産等の貸付けによっって敷金、保証金等の名で得た収入は、賃貸人の債務担保の意味合いから、それ賃貸収入とならないことが一般的ですが、契約当初から、一定期間の経過後、その一部ないし全部が賃貸人に帰属することが契約書上記載あるときは、不動産の収入金額となります。
〈例1〉敷金等のうち、賃貸期間の経過に関係なく変換を要しないこととなっている部分の金額
⇒収入となる時期は、資産の引き渡しのあった日又は貸付けに係る契約の効力発生の日
〈例2〉敷金等のうち、賃貸期間の経過に応じて返還くを要しないこととなる部分の金額
⇒収入となる時期は、返還を要しないこととtなった日
〈例3〉敷金等のうち貸付期間が終了しなければ返還を要しないことが確定しない部分の金額
⇒収入となる時期は、貸付けが終了した日
Q 所有している海外のコンドミニアムの賃貸収入をドルで受け取っている場合の賃貸収入などはどのように計算するのか。
A 原則:収入とすべき日や支払うべき日の先進売買相場の仲値(TTM)によって、外貨のドルを円に換算して計算します。
ただし、継続適用を条件として、収入金額を取引日の電信買相場(TTB)、必要経費又は負債については取引日の電信売相場(TTS)で計算することができます。
Q 海外所有の賃貸物件の収支の円換算方法として、取引内容を外貨で記帳し、年末一括で円換算しても大丈夫ですか。
A 取引日に外貨で記帳し、年末に一括して(同じレート)円換算することはできません。
外貨取引は、原則として、取引日の為替相場で円換算することとなっています。ただし、外貨取引を取引発生時には外貨で記録し、各月末等一定の時点において損益計算書及び貸借対照表の項目を円通貨に換算するという「多通貨会計」を採用しているのであれば、各月末等規則性をもって1か月以内の一定期間ごとの一定の時点で円換算しているときは、認められます。
Q ドル預金10万ドルを全額払い出し、ハワイに10万ドルの賃貸物件を購入しました。この時、預け入れ時点と物件購入時点で為替相場が円安になっていたことから為替差益が生じました。申告しなかればなりませんか。
A 為替差益は雑所得として申告しなければなりません。
〔計算例〕①預金の預入時のレート ・・・・$1=100円:10万ドル=10,000,000円
②預金の払出時のレート ・・・・$1=110円:10万ドル=11,000,000円
③建物購入時のレート ・・・・$1=115円:10万ドル=11,500,000円
①と③の差額1,500,000円が為替差益となり、雑所得として申告することとなります。
投資目的での不動産所有も多い昨今ですが、面倒がらずに適正に記帳等行い申告しましょう!